大型昆虫続々と輸入、環境庁「在来種脅かす」 |
昆虫ファンらの働きかけで、植物に有害とされてきた昆虫の輸入が一部解禁され、カブトムシとクワガタムシの外国産種が次々と専門店や百貨店などに並び、人気を呼んでいる。植物防疫法の禁止条項を緩めた農水省の〈規制緩和措置〉だが、「植物に害はない」とした同省の判断に、環境庁は「繁殖して在来種を脅かす恐れはないか」と懸念を表明。“対抗手段”として「移入種対策のガイドライン」作成に乗り出す事態になっている。
農水省植物防疫課は、植物防疫法に基づいて、肉食のカマキリやトンボなど「明らかに植物に害を与えない」と考えられるもの以外の昆虫を「有害動物」に指定し、国内への持ち込みを原則的に禁止してきた。
しかし、各地の植物防疫所にマニアや販売業者から解禁を求める要望が相次いだため、食性分析などからクワガタムシ三十四種類、カブトムシ十四種類は「無害」と判断。昨年十一月、輸出国の公的機関が出す輸出証明書があれば輸入可能とした。
一方、生物学や生態学の研究者の間には解禁を疑問視する声が強い。国立環境研究所野生生物保全研究チームの五箇公一主任研究員は、農作物の受粉媒体として輸入が認められたセイヨウオオマルハナバチが、在来種のマルハナバチを駆逐した例を挙げ、「生態系へのリスクを調査しないまま輸入が許可されたのは問題」と指摘する。こうした論議の中で、農水省植物防疫課は「植物に無害とわかれば、輸入を認めないわけにはいかない」とし、今後も条件を満たせば解禁する考え。
(5月12日14:38)
読売新聞
有限会社 ペットWAY企画